渡辺力のRIKI STOOL(リキスツール)
六角柱のシンプルなフォルム、彩度を抑えたやさしいカラーリングで静かな存在感を放つ、段ボールでできたスツールがあります。
このスツールは通称「RIKI STOOL(リキスツール)」と呼ばれており、Qデザイナーズがデザインを手がけ1965年に発表されました。当時Qデザイナーズの代表を務めていたのが、日本人初のフリーランスデザイナー<渡辺力(わたなべ りき)>でした。
ネジや工具は一切不要。組み立てるだけで完成するRIKI SOOL(リキスツール)。
段ボール家具であるリキスツールは3種類のパーツを、山折り、谷折り、はめ込みの作業だけで完成します。組み立て作業にネジや接着剤を使わずスツールを作るというのはちょっと信じられない気もしますよね。
しかも、耐荷重は600kg!というから驚きです。発売当時は「4つのスツールで象の体重も支えられる」というコピーで話題になったそうです。
パッケージの状態ではフラットです。
このような感じで折ったり、はめ込んで組み立てます。
重量はロータイプで約1.2kg、ハイタイプで1.55kgととても軽量。
子供でも楽々持ち運びができる重さですね。
今でこそ段ボールはあらゆる梱包資材に利用されている大変身近な素材ですが、リキスツールが発売された1960年代は、まだ段ボール紙が出始めたばかり。安価な再生素材ではなかったそう。
なのでリキスツールの当時の価格は3,000円。これは今の価格に換算すると85,000円ほどになるとか。
さすがに高価すぎて、なかなか手が出せませんよね。
1997年に復刻された時には段ボール紙もかなり安価になり、リキスツールの価格も大変手頃なものになりました。
現在の販売価格は、ロータイプ¥2,800/ハイタイプ¥3,300(※本体価格)。
組み立て式の段ボール素材とはいえ、これはお値打ちですよね。
復刻時にカラーも選び直されたそうですが、単色タイプ、2色タイプ、ミックスカラーの3種類が現在発売されています。
■2色タイプ
■ミックスカラー
積み木のように遊んだり、表面に絵を描いたりできるので幼稚園や保育園でも使われているそうですよ。
このタイムレスなデザインと価格なら、是非いくつか持っておきたいと思わせるアイテムですよね!
<デザイナー/渡辺力(わたなべりき)>
1911年東京生まれ。東京高等学校木材工芸科卒業後、群馬県工芸所を経て、1949年に渡辺力デザイン事務所を設立。1957年、トリイスツールと円形センターテーブルがミラノトリエンナーレで金賞を受賞。日比谷第一生命のポール時計や京王プラザホテルのインテリアなどで広く親しまれている。2013年に101歳で死去。戦後日本のデザイン黎明期に革新をもたらしたパイオニア的な存在である。
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