復刻版で日常使いも。マウスブローの繊細な美。Oiva Toikka(オイバ・トイッカ)のFlora(フローラ)
Oiva Toikka(オイバ・トイッカ)さんといえばイッタラ社のカステヘルミやバードコレクションが人気ですよね。
多くのガラス器を世に出してきたオイバさんですが、中でも評価が高いものの1つにFlora(フローラ)シリーズがあります。
フローラとは植物相という意味。
その名の通りマウスブローによる薄手のガラスに植物の模様が浮かび上がっています。
(snap by instagram)
カラーも淡い独特な色調。
光の当たり方で様々な表情を浮かべ、透過光によって出来る模様も素敵です。
フローラが誕生したのは1966年のこと。
1964年、ヌータヤルヴィ社で製造されたカステヘルミで
鮮烈なデザイナーデビューを果たしたオイバさんの次作がフローラでした。
カステヘルミが厚めのプレスガラスにドット模様だったのに対し、
フローラでは薄い吹きガラスに具象的な模様と対照的な美しさとなっています。
こちらはヌータヤルヴィ社のシールが残るヴィンテージのグラス。
ヌータヤルヴィ社は創業が1793年というフィンランド屈指の老舗ガラスメーカーでした。
もともとは窓ガラスやガラス瓶、グラスなどの実用品を作っていましたが、
19世紀半ばから吹きガラスによるアートピースに注力し、技術をブラッシュアップさせていきます。
1950年にARABIA(アラビア)社を所有していたWartsilaグループの一員となった関係で、
アラビア社にいたオイバさんやカイ・フランクが赴任。
その手腕で、素晴らしいアートピースやプロダクトが続々と生み出されました。
(snap by instagram)
1988年、ヌータヤルヴィ社はイッタラ社と合併。
イッタラ社のヌータヤルヴィガラス工場となりますが、フローラはここで1991年まで作られていました。
ヌータヤルヴィガラス工場は、オイバさんのバードコレクションをはじめ
職人の高度な技術を要するものに特化した存在でした。
その後、イッタラ社で復刻版が限定的に販売されましたが、
ほとんどはマウスブローではなく機械による吹きガラスだったようです。
マウスブローによるガラス器の個体差や、作業によるちょっとした傷といった
素朴な味わいが失われてしまったんですね。
それも2004年に終了し、フローラは非常に入手しにくい状態が続いていました。
さらに昨年には、2014年中の(つまり今年!)ヌータヤルヴィガラス工場閉鎖が決定するという悲しいニュースが……。
今後、ヴィンテージ品はますます高額になるかもしれません。
絶対、手に入れておきたい、こだわりの復刻版!
そんな状況に風穴を空けたのが、高感度なプロダクトの販売で北欧好きにもおなじみのネットショップ、scopeさん。
この春、イッタラに別注をかけてフローラシリーズを復活させてくれたんです!
しかも、この復刻版、こだわりまくり!
オイバさんの「フローラはマウスブローでなくては」という言葉に従って、
機械吹きだった試作品からマウスブローに変更。
職人技によるフローラが蘇りました。
ヌータヤルヴィのシールも誇らしげに輝いています!
(snap by instagram)
包装にもこだわりが。
以前、フローラはオイバさんデザインによる紙箱に入れて販売されていました。
(snap by instagram)
SCOPE版ではこのデザインの布でくるんで送られてきます。
包装がムダにならない、どころかうれしいオマケになっています。
サスティナブルな心遣いが素敵です!
(snap by instagram)
この気合いの入った復刻版はぜひ手に入れておきたいですね。
ちなみにフローラにはFauna(ファウナ=動物相)という姉妹シリーズもあるんですが、
こちらの復刻もあるのかなと期待してしまいます!
●Oiva Toikka/オイバ・トイッカ(1931ー )
ヘルシンキ大学工業芸術学部陶芸芸術学科芸術教養学科で学び、卒業後、アラビア社のセラミックデザイナーを経てヌータヤルヴィ社のデザイナーに。
数々の名作を生んだ北欧ガラスのトップアーティスト。
ガラス器以外でも、マリメッコのテキスタイルや、舞台セット、衣装のデザインまで手掛けるなど多才ぶりを見せる。
ミッドセンチュリー期から現在まで活躍を続けている数少ないデザイナーの1人。
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