ついコレクションしたくなる!幸運をもたらすスウェーデンの馬 ダーラナホース
なんとも素朴で愛らしいスウェーデンの伝統工芸品「ダーラナホース」。スウェーデン語ではDalahäst(ダーラヘスト)という、この馬は18世紀の初頭からダーラナ地方で作られているもの。仕事を終えた木こりたちが手なぐさみに端材をナイフ一本で削り出したのがはじまり。日照時間が短い北欧の冬の夜長、木こりたちは自分の子供のためのおもちゃとしてダーラナホースを作ったのです。伐採した木を運び出すための貴重な動力であり、日頃から慣れ親しんでいた馬は格好のモチーフでした。
我が子への愛が詰まった玩具
もともとは木彫りそのままの朴訥な玩具でしたが、19世紀になると赤い色が塗られるようになります。というのも付近に銅山があったため、酸化銅の赤い塗料が手に入りやすかったため。さらに、現地の伝統的なトールペイントの技法であるクルビッツ柄が施されるようになり、現在の代表的なダーラナホースが誕生しました。子供たちを喜ばせるために身近な材料と技術を組み合わせて作られた玩具なんですね。ダーラナホースが幸せを呼ぶと言われるのは、我が子を思って父親が木を削り、母親が彩色した愛情の結晶だからなのかもしれません。
20世紀に入るとダーラナ地方の一大産業となり、1939年にニューヨーク国際見本市で紹介されたことをきっかけに世界に知られるようになりました。
NILS OLSSON社とGRANNAS社の製品は日本でもよく見かけます。産業化されたといっても、材木を馬の型に抜くところまでで、彫りと彩色は現在も手作業。職人さんが一つひとつ丁寧に仕上げていくために、まったく同じものは二つとありません。
どんなアイテムになっても変わらない
素朴なデザインの力強さ
手仕上げの温もりが魅力のダーラナホースですが、今では、多種多様なデザインが生まれ、またいろいろなアイテムにとりいれられています。
本当にたくさんのダーラナホースがあって、いつの間にかコレクションになっていたという人もいるのでは。
これはスウェーデンのライフスタイルカンパニーserholt(セルフォルト)社の製品。上の写真はブルーとホワイトの単色。下の写真はモダンアート風のデザイン。どちらもシンプルモダンなインテリアにマッチしそうですね。ちなみにモダンアート風のものもハンドペイントで、手作りの基本は失っていません。
こちらはAnna Viktoria(アンナ・ヴィクトリア)のカラフルな陶製のダーラナホース。アンナ・ヴィクトリアはデザイナーViktoria Manstrom(ヴィクトリア・モンストローム)によって2006年に設立されたブランド。祖父から受け継いだダーラナホースの彩色技術を活かしながら、現代的なアレンジに挑戦しています。
キッチン用品にもこんなふうにアレンジされています。パスタメジャーは大きさの違うプレートが三枚セットになっていて、親子のダーラナホースのようです。
クッキーカッターはスウェーデンのSVEICO(スヴェイコ)社製。スヴェイコ社は他にもたくさんのかわいいアニマル型のクッキーカッターを作っていますよ。お菓子作りが趣味の人は注目です。
ファブリックももちろんあります。こちらはARVIDSSONS TEXTIL(アルヴィッドソンズ・テキスタイル)社のもの。アルヴィッドソンズは1949年にスウェーデンで創業したテキスタイルのホールセラー。北欧ではマリメッコなどと並ぶ有名な企業です。
ダーラナホースのスノードーム。ダーラナホース・コレクターにもスノードーム・コレクターにも魅力的なアイテムですよね。
いろいろなダーラナホースがいますが、根底に共通しているのはシンプルなデザインの持つ力強さと暖かみではないでしょうか。幸せを運んで来てくれる馬は、これからも時代を超えて世界中で愛され続けるでしょう。
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